「冒険者に捧ぐ100の言葉」の更新と、気ままに描いたラクガキの掲載。
2007.10.02 Tue
線画:アナログ
塗り:Photoshop6.0(鉛筆ツール)
塗り:Photoshop6.0(鉛筆ツール)
超久々のデジタル絵。たまにやると面白い。
そんなわけで、劇場版エヴァンゲリヲン。
職場の人と連れ立って観てきました。
全画面を描き直しているという、そこだけで、
十分に見る価値ありと私は思いますです。
すっげクオリティの高さ。美しすぎる。
何度も見ている場面なのに、ものすごい迫力。
特に、ヤシマ作戦のとこなんてもぅ…!!かっけぇー!!
TV版でもかなりの緊迫感があったシーンだけど、
あれを超える心臓の高鳴りを覚えた。
感動のあまり、思わず目頭熱くなった。
内容については、いかんせんまだ「序」なのでなんとも。
一つ言えるのは、「今度こそ精神論では終わらないよね」と、
そう思わせてくれるような作り方だった。
TV版を踏襲しつつも、新設定や新場面の追加が入るので、
少しずつ少しずつ、TV版からは離れてまさに「再建」の様相を
呈しているような、そんな感じ。
あと、個人的な感慨で言うと。
TV放映当時はシンジたちと同い年だった自分が、
今やミサトたちの年齢に近づきつつあり。
しかもつい先日までの自分は、
シンジたちくらいの年齢の子どもを相手に、毎日仕事をしていた。
だからかな、共感できる視点が、否が応でもミサトになるのよね。
自分よりも10以上も下の年齢の子どもたちを、
戦場へと送り出さざるを得ない、その心境。
ほんとは甘やかしてやりたい部分もあるだろうに、
作戦部長として、パイロットを叱咤してやらなければならない、その重み。
いかほどのプレッシャーと心の痛みだろうと思うと、
改めて、葛城ミサトという人物に魅力を感じる。
てゆうか、尊敬の念でいっぱいになる。
すごいよなぁ、ミサトさんは。
そんな劇場版エヴァ。
次回作「破」が、今から楽しみで仕方ない。
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2007.09.01 Sat
2人の頭上で轟いていた雷は、
時間と共に東の方角へと遠のいていった。
しかし、地面を叩きつける雨は一向にやむ気配がない。
さてどうしたものかと、キトが軒下から空を見上げていると、
足許で何かが動く気配がした。
見やると、先ほどまでうずくまって頭を抱えていた少年が
ゆっくりと立ち上がったところだった。
「もう大丈夫なのか?」
キトが尋ねると、少年は一瞬だけキトの目を見てから、
ばつの悪そうな顔をして視線を逸らした。そして、小さく頷く。
「さっきは、その……悪かったよ。
俺、ここの見張りを任されててさ。ちょっと気を張りすぎてたかも」
そっぽを向いて頭を掻く姿を見ていると、
先ほどまで荒々しい攻撃を仕掛けていた少年と同一人物だとは、にわかには信じがたい。
あの剥き出しの殺気をして、
“気を張りすぎている”ではすまないだろうとキトは思ったが、口にしなかった。
「見張りってことは、お前、“黒蠍”の一員か。
“黒蠍”って、子どもでも入れるんだな」
感心してキトが呟くと、少年は不意に眉間に皺を寄せた。
「俺は子どもじゃない」
「え、じゃあお前、歳はいくつだよ」
キトの質問に、少年は一瞬、ぐっと言葉に詰まる。
しかしわざとらしいくらいに背筋を伸ばすと、すました顔を見せた。
「じゅ、17だよ。立派な大人だ。そういうあんたはどうなんだ」
問い返され、今度はキトがぐっと詰まる。
「お、オレも17歳、だ」
とっさに嘘をついた。4年分、早く生まれたことにしておいた。
そうしないと、なんだか負けるような気がした。
「へ、へぇ、あんたも17か」
「ふ、ふん、偶然だな」
お互い不自然なくらいに背筋を伸ばし、
相手より少しでも自分を大きく見せようとしていることに
――自分の嘘を見抜かれないようにしていることに、2人は気付いていなかった。
2007.09.01 Sat
空に、光が走る。
相手の異変に気付いたのは、互いの息が切れ始めた頃のことだった。
力任せの拳がキトの顔を掠める音と、
その合間に聞こえる、少年自身の息遣い。
キトはふと、その息遣いが気になって攻撃の手を休めた。
防戦一方に回る。
それを好機と見たのか、少年はますます間合いに踏み込んで、
キトの懐を狙おうとする。
しかし。
少年の呼吸の乱れ方がおかしいのだ。
大きく肩をいからせていたかと思いきや、
喉の奥でひゅっと音を立てて浅い息を繰り返す。
ひどく不自然な呼吸。
キトは眉をひそめた。
目の前の少年が、技に多々荒さは見られるものの、
かなりの使い手であることは一目瞭然だ。
それなのに、らしからぬ呼吸の乱れよう。
当然のことながら、少年の息の乱れに伴って、
攻撃の鋭さも当初より各段に落ちている。
思い切って、キトは地を蹴って後ろへ大きく跳んだ。
間合いを開き、二人の少年は再び対峙する。
腰を落としたまま、キトは目の前の少年を見つめた。
技の力量などはキトとあまり変わらないだろうに、
明らかに、少年の方が息を乱し、疲労している。
上空で、雷鳴が低く唸りを上げている。
先ほどよりも近付いてきているようだ。
雨の匂いも強くなりつつある。
閃光の奔る空。
少年が大きく息を呑むのが、キトの耳にも聞こえた。
ややあってから、腹に響くほどの重低音が大気を震わせる。
「――なあ」
思い切って、キトは口を開いてみた。
構えの姿勢は崩さぬままに。
「もしかしてお前……雷が怖いのか?」
まさかなーと思いながら何気なく発してみたその言葉に、
少年は必要以上に大きく肩を震わせると、きゅっと唇を噛み締めた。
表情こそ平静を保とうとしているものの、顔は既に蒼白だ。
しかし気丈な性格がそうさせるのか、キトの顔をじっと見つめたまま、
どこまでも強気の姿勢を崩さない。構えも崩さない。
「何言ってんの? この俺が雷を怖がってるって?
そんなこと、あるわけな……」
その言葉を遮るかのごとく、辺りが白い光に包まれる。
直後、二人のすぐ頭上で、大気を切り裂く轟音が鳴り響いた。
どうやらそれが限界だったようだ。
「――なあ」
次に少年が口を開いた時、その声は見事に震えていた。
「い、一時休戦、っていうの、ど、どうだ?」
目が、必死で訴えかけている。
早くこの場から逃げ出させてくれ、と。
他人事ではなく、キト自身もこのまま突っ立っていると危険だ。
兄を探す為に大陸まで来ておいて、落雷に遭ったなどとは笑い話にもならない。
キトは、体の構えを解いた。
「いいよ、一時休戦だ」
その言葉を合図に、二人は全速力で建物の軒下へと逃げ込んだ。
我先にと避難し、そして大きく息を吐く。
少年にいたっては、その場でしゃがみ込んで頭を抱えてしまう始末だ。
キトはそんな彼を見やり、やれやれと思いながら腰に手を当てた。
最初に見せた、あの冷たいほどの眼差しと殺気は一体どこへいったのだろう。
雷からは少し遅れて、最初の雨滴が地面を叩いた。
やがて路地裏はけぶるほどの雨に包まれた。
2007.09.01 Sat
少年とキト、2人の頭上で翻る旗は、紛れもない――。
「ねぇ。ここは“黒蠍”の縄張りだよ。あんた、分かってんのかい?」
箱の上に座ったままの少年が、再び口を開く。彼の顔から笑みは消えていた。
キトはそれに答えなかった。
ただ少年の瞳をじっと見つめ、彼が次に取り得る行動を予測した。
こちらが隙を見せようものなら、一気に仕留めにかかるつもりなのだろうか、
少年は先ほどから殺気を隠そうともしない。
「“黒蠍”。知らないってわけじゃないよね?
俺たちに楯突くと、色々と大変な目に遭うよ」
言うや否や、少年は箱から飛び降りる。
猫のように軽やかに着地すると、キトへと向き直った。
狭い路地裏で少年たちは対峙する。
依然として少年を見据えたまま、キトは奥歯をぎゅっと噛み締めた。
この、殺気。
逃げられる気がしなかった。
もとより、この状況で背中を見せるだなんて、まっぴらごめんだ。
性に合わない。合わなさすぎる。
2人の間を、湿った冷風が吹き抜けた。雨の匂い。
雨。海。水。水のちから。
キトはそっと息を吸い込み、そして吐き出す。
右半身を少しだけ後ろへ引き、腰を落として構えの姿勢を取った。
体の奥底から、泉のように何かが湧き出てくるのを感じる。
雨。海。水。水の――ちから。
「へぇ」
少年が、面白そうに片眉を上げた。
「やるのかい?」
返事の代わりに、キトは腰を更に低く沈ませる。
後ろへやった右足、その親指の辺りを軸にして力をこめ、
いつでも地面から跳躍できるようにしておく。
「ちょうどよかった。俺、すごいヒマしてたんだよね」
そう言って、少年が目を細めた。獲物を見つけた獣の目。
先に地面を蹴ったのは、果たしてどちらだったのか。
一瞬のうちに、2人の間合いはなくなる。
キトが手刀で空を切れば、少年はキトのその手を叩き落す。
少年がキトの顔面を狙って拳を繰り出せば、
キトは少年のその手に少し力を添え、拳の軌道を受け流す。
空気の流れに沿った攻撃と、己の力をぶつける防戦。
荒削りな打撃と、流れるような防御。
性質が正反対の手合わせはしかし、間断なく続けられた。
互いに譲らなかった。
あたりを雨の匂いが強く包む。
遠くの空で、雷鳴が轟き始めていた。
2007.09.01 Sat
大邑の町に着いたその日は、港近くの宿で過ごした。
そして翌日から早速、キトは行動を開始した。
些細なことでもいい、兄に関する情報を集めるのだ。
自らの軽快な足取りと、人並み以上の体力を活かした、
キトなりの最良の捜索方法だった。
大邑では、大きな通りから外れると、
そこはもう迷路のような路地が複雑に入り組んでいる。
建物の造りも似たものばかりなので、
よそ者がふらふらと迷いこもうものなら、ものの数分で元の道に戻れなくなるほどだ。
これは、かつて大きな戦があった時代、
この町が戦場になった時に少しでも敵の足を撹乱させることを目的として、
街区の設計がなされた名残である。
攻め込んできた敵の大半は、市街戦になるや否や、
その迷路に誘い込まれて袋小路へと追いやられ、
最終的には無残な末路を迎えることとなったのだ。
そしてキト自身も、例に漏れず迷い人となって裏通りを歩いていた。
「あっれぇー?
この置物、さっきも見たような気がするんだけどなー」
独りごちながら頭を掻くその様子からは、
行方不明の兄を探しているのだという危急さは、欠片も見当たらない。
「んんんー、まっ、いっか。
適当に歩いてれば、そのうちに店か何か見えてくるかな」
非常に前向きな発言をすると、キトはそのまま歩き続ける。
“とりあえず手当たり次第に聞き込みをする”――それが、キトの立てた作戦だった。
が、しかし。
宿を出てからすぐに裏通りへと迷い込んでしまったため、
実を言うと、まだ誰にも聞き込み調査ができていないのが現状だ。
そんなキトに救いの手を差し伸べるがごとく、路地の先に人影が見えた。
その人影は、道端に放置された箱の上に座り、ぼんやりと空を眺めている。
どうやら、キトと同年代くらいの少年のようだ。
「おぉ、第一まちびと発見!」
キトは安堵の息をつくと、満面に笑みを浮かべて少年へと駆け寄る。
「なぁなぁ、ちょっと訊きたいことがあるんだけどさー!」
その声に、箱の上の少年がこちらを見やった。黒い短髪に、髪と同じ色の、冷たい瞳。
――刹那、キトは本能的に立ち止まる。
自分の中の危険信号が、大急ぎで警告を発し始めていることに気付く。
すさまじい速さで全身の血がどくどくと波打っている。
少し開いた口で浅く呼吸を繰り返し、キトは何とか平静を保った。
これは――この気配は、目の前の少年が放っているこの気配は、紛れもない、“殺気”だ。
じんわりと嫌な汗をかいているキトを見つめ、少年は薄く笑みを浮かべた。
「ねぇ。ここ、誰の縄張りか分かってんのかい?」
覚えず、キトは頭上を見やる。何かの影が、ひらりと動いた気がしたからだ。
影の正体は、はためく赤旗(せっき)。その中央に描かれているのは、蠍の尾。
そこには、この町の「治安部隊」とやらを意味する集団の旗が、
これでもかというほどに堂々と翻っていた。
2007.09.01 Sat
キトにとって、兄は英雄そのものであった。
具体的に、何がどう、と言葉で説明することは難しい。
ただ一つ言えるのは、
弟であるキトの目から見ても、彼に欠点などなかったということだ。
その証拠に兄は、人好きのする気性も手伝って、島の皆から慕われていた。
しかし兄は時折、岬から海の向こうを見つめ、
いつか自分は大陸へ行ってやるのだと漏らしていた。
いつか絶対に、この島を出てやるのだと。
キトには、何故兄が、
そんなにも大陸へのこだわりを見せるのかが理解できなかった。
島で暮らしていれば、家族もいるし友人もいる。
そのまま大人になって、父のように鉱山で働き、そして日々を営めばいいではないか。
わざわざ島を出る必要など、ないではないか。
しかしキトは何も言えなかった。
島を出てやるのだと呟く兄の顔が、ひとかたならぬ自信に満ち溢れていたからだ。
兄のことを思い出すとき、キトの中では真っ先にその顔が思い浮かぶ。
まるで目裏に焼きついたように、鮮やかに再生されるのだった。
その表情があまりに印象に強すぎたのだろうか、
兄がいなくなってからまだ2ヶ月ほどなのに、
キトには、兄の他の表情が思い出せなかった。
2007.09.01 Sat
大邑<タイユウ>の町のいたるところでは、赤い旗が風にたなびいている。
赤旗の中央に描かれているのは、黒い胴体に、鋭い尻尾。
砂漠における影の暗殺者とも言うべき生き物を模した旗は、
まさしく、その町で最強を誇る集団を表すにふさわしい象徴だった。
武装集団“黒蠍(くろさそり)”――。
恐ろしく統制されたその組織は、
大邑の町の全てを取り仕切っていた。
権力も、金やモノの流れも、人の心も、全て。
それは、正式な統治者の存在しないこの町にとっては、
むしろ好都合なことであった。
武装集団とは言っても、“黒蠍”は決して、人民を虐げたりはしない。
町の秩序を保つため、また、外敵から町を守るため、
時にはその尾を振りかざすこともあるというだけだ。
夜空に蠍が昇る季節が巡ってくると、
人々は皆、窓辺に供物を置いて祈りを捧げた。
この町が、ずっと安泰であるようにと。
彼ら“黒蠍”が、自分達をずっと守ってくれるようにと。
その祈りの行方は、果たして神なのか、それとも蠍の尾なのか。
人々は、それすらも分からずにただ祈りを捧げた。
2007.09.01 Sat
船は、ようやく大邑の港へと入港した。
積荷の上げ下ろしの慌しさに紛れて、キトは地上へと降り立つ。
先に下船していた“常盤屋”の主は、
自分の従業員へ何事か指示を送っているところだったが、
キトが駆け寄ってきたことに気付くと、こちらへと向き直ってくれた。
「よぉ。船酔いはしなかったか?」
トキワの言葉に、キトは大きく頷く。
幸い、慣れない船旅で具合が悪くなることはなかった。
「ほんとにありがとう、トキワ。すっごく助かった!
この借りは、いつか必ず返すから」
キトが大真面目に言うので、トキワは口の端を上げた。
「出世払いってやつかよ」
「そう、それそれ」
「あー、無理だ無理だ。
おめぇみたいな男、歳を重ねても出世するはずがねぇ」
「なんだよそれー!ひでぇや!」
せっかくの感謝の気持ちを無下にされたようで、
キトは口を尖らせて抗議した。
対してトキワは、ふふんと鼻を鳴らす。
「おめぇの将来には期待はしてねぇよ。そのかわり、
次に生まれ変わった時にでも、めいっぱい俺様に貢ぐこったな」
意地の悪い笑みを浮かべると、くるりと背を向けて歩き出した。
キトは、慌ててその背に向かって声を張り上げる。
「見てろよ、いつかトキワよりもすげぇ奴になってやるからなー!」
トキワからの返事はなく、
しかし彼はこちらに背を向けたまま、ひらひらと手を振って見せたのだった。
<第1章 了>
2007.09.01 Sat
大邑の港までは、丸々1日の行程だと、トキワは言っていた。
碧峰島と大陸を結ぶ航路は、近いようでいて遠い。
それはひとえに、島と大陸のはざまにある海流が関係しているのだという。
時間によって流れを変えるというその海流に合わせて、船を操舵しなければならない。
そのため、流れが掴めなければ、場合によっては、
何時間も海の上で「流れ」がやってくるのを待つこともある。
待っている間に時化や大波にでも遭おうものなら、その被害は半端ではない。
「海の旅ってのは、結構命がけなんだぜ」
いつだったか、トキワが冗談交じりに言っていたのを思い出す。
船倉の硝子窓から水平線を眺め、キトは溜息をついた。
やはり海路は、陸路とは勝手が違う。
そこまで人間の自由が奪われるものだとは、思いもしなかった。
この広い海を越え、兄は一体、何を目指したのだろう。
敢えて危険を冒してまで、何故、あの豊かな碧峰の島を出たのだろう。
キトの頭の中では、同じ疑問がぐるぐると渦巻いていた。
キトはただ、その答えが知りたかった。
そして、できることならば、兄を島へと連れ戻したいと願っていた。
2007.09.01 Sat
波が、船底をさらう音。
時折大きく傾ぐ船体に、キトは己の体を持ってゆかれないようにと踏ん張る。
もんどりを打つとまではいかぬとも、
常にふわふわとした足許の不安定さには閉口する。
全てが、キトにとっては馴染みのない感覚だった。
しかし贅沢は言えない。
積荷と一緒にキトを乗船させたことは、
大陸商人のトキワにしてみれば、特別の計らいなのだ。
子供1人をこっそりと船に乗せるのがそんなにも大変なことだとは、
書類とにらめっこして積荷の数をごまかしているトキワの姿を見て、
キトは初めて知った。
いつか、トキワにはこの借りを返さなくちゃな。
分不相応にも、ぼんやりとそう思う。
硝子窓の向こうには、自分が生まれ育った碧峰の島が見える。
波間に洗われ、少しずつ遠ざかってゆく、故郷の島。
キトはその島影を見つめながら、小さく呟いた。
「待ってろよ、みんな。
オレが必ず、兄ちゃんを連れて帰ってきてやるからな」